1.老後のこと

第二次世界大戦後から日本人の平均寿命は一貫して伸びてきました。現在の平均寿命は男性なら78歳、女性なら85歳といったところでしょうか。現在の日本は少子化と高齢化が同時進行し、周囲を見渡せば子供がめっきり減り、逆にお年寄りの数が非常に目に付きます。
日本はこのように世界でも有数の長寿国です。恐らく平均寿命の長さは世界一を争うレベルではないでしょうか。日本の平均寿命が長くなったのは、その理由が幾つか挙げられます。例えば日本の医療技術の高さ。電子カルテやレセプトを導入し、管理体制も容易に正確になってきているところも大きい上に、科学技術大国日本の誇る技術やノウハウがこういった方面にも活かされているわけです。またよく言われるように、お年寄りの食生活が長寿の秘訣となっているのかもしれません。現在のお年寄りが若かったころは食生活も現在のように多様で豊かではありませんでした。その結果健康な食生活が保たれ、お年寄りが長生きできる要因となったとも考えられます。翻って現代の状況を考えれば、現代の若い人や子供達や食生活が高カロリーで、かつ偏りがちです。勿論昔と比べて食生活は格段に豊かになっており、いつでもどこでもおいしいものが好きなだけ食べられる環境になっています。このような食生活がかえって健康を損なう可能性は大いに考えられます。現代風の食生活にどっぷり浸かった若い人や子供たちが歳をとったころには、現在のお年寄りのように長生きできないだろう、と考える人も少なくありません。
日本人が長寿になったもう一つの理由は、やはり日本の気候、風土にあるのではないかと思います。海外で長く生活をおくった事のある人ならお分かりかもしれませんが、人類が生存していくに、日本ほど生存環境のよい国や地域は、地球上にもそう多くないのではないか、ということです。国土の大部分が温帯湿潤気候に属する日本は、一年を通して四季の変化がはっきりしており、気温は基本的に穏やかです。極端に暑くなったり寒くなったりすることもありません。また乾燥することもありません。こうした気候条件である日本に住んでいれば、私達日本人は四季の変化に伴って、それぞれの季節がもたらす風物や味覚を楽しむことができます。例えば春には桜が楽しめ、夏にはプールや海で泳ぎ、秋には紅葉狩りをし、冬には雪景色が見られます。「旬」という言葉があって、それぞれ最もいい季節に最もおいしいものを楽しめるのは、日本ならではの特権です。もし皆さんが長期で海外暮らしを体験された場合、こうした四季の変化を楽しみ事ができないことが多くなり、日本が恋しくなることでしょう。私は個人的にこうした日本の気候も長寿の要因だと考えています。日本は面積約38万平方キロの面積に、約1億2千万の人々が住んでおり、世界でも有数の人口密集地態です。こうした自然条件と平均寿命とは、やはり密接な関係があると考えることができます。日本の気候の話が長くなってしまいましたが、以上の幾つかの理由によって、現在日本人の平均寿命が世界でも有数の長さになっています。
ところで人間が長生きすることはすばらしいことです。古来から人類は長生きできることを願い、そしてしいては不老長寿に憧れ、その方法を模索してきました。こうした不老長寿に関するエピソードや伝説は世界の古今東西を問わず、どこにでもあるものです。そのことが古来からの人類の長寿への強烈な願望を示しています。そして昔に比べて格段と平均寿命が延び、長寿への憧れがある程度叶えられた現在、また新たな問題、私たちが考えるべきテーマが数多く出現しています。

例えば引退してからの生活、シニアライフです。かくも平均寿命が長くなった現在は、例えば60歳で退職し、第一線から引退したとしても、そのあとまだ約20年も時間が残っているわけです。この20年をどうやって過ごしたらいいのでしょうか。勿論若い身体ではありませんから、時間は幾らあっても、物理的生理的に何だってできるというわけではありません。また年金や退職金といった収入以外の収入がなくなるわけですから、老後の蓄えの面で不安が残ります。こうした不安や制約のなかで20年を過ごしていかなければならないのです。所謂老後の20年の時間を過ごすのなら、当然ながら健康の問題があります。また家族との関係や、経済的な問題もあります。これをご覧の皆さんの多くは、老後の問題などまだ先のことだと考えることでしょう。ですがそのときになってから考えたのでは遅い、切実な問題なのです。最近は有料老人ホームで快適な老後を過ごす人が増えています。介護付きの有料老人ホームで介護や生活のお世話を受けす人もいれば、それほど介護の必要がない人は住居型有料老人ホームで食事や簡単な生活の補助をしてもらい暮らしている人もいます。有料老人ホームはサービスや設備も整っているところが多いです。